「休みの日もなんだか気持ちが落ち着かず、ずっとSNSを眺めてしまう、結果休めない」
そんなことってありませんか?
実は、現代のわたしたちの脳は常にフル回転しがち。仕事での情報処理、家事や育児の段取り、SNSの刺激的な情報、TVから雪崩のように流れ込んでくる情報――気づけば頭が休まる暇がない状態になりやすいんです。
「ちょっとは休まなきゃ」と思っても、いざ布団に入ると脳内が大忙しで、まったくリラックスできない…そんな経験ありませんか? 今回は、脳を完全に「黙らせる」ような深い休息方法をお伝えします。
脳を静めたいあなたのために、心理学の視点を踏まえながら、ゆったり実践しやすい方法をステップバイステップで解説していきますね。
いま、あなたの脳は多くの考えごとでいっぱいかもしれません。
家事に追われやすい30代~50代の女性や、50代を過ぎて「このままでいいのかな」と焦る方、仕事をがんばりすぎて夜眠れなくなっている方――脳に余白がない状態だと、いつの間にか疲れが蓄積し、心身の不調につながりやすいのです。
脳の中であれこれ考えが巡ってしまう主な理由は、「次のリスクに備えたい」「もっと効率良くしなくちゃ」という“警戒モード”が働いているから。脳科学の研究によると、脳は常に「今、危険はないか」「やるべきことはないか」をチェックする習性があるといわれます。
そのため、せっかく布団に入っても、急に「明日の準備大丈夫?」「夕飯の残りは?」「月末の支払いは?」と考えてしまう。ちょっとした家族の言葉や、SNSの書き込みが気になって寝つけない――そんな状態に陥るんですね。
しかし、脳は休む暇がなくなると、やがて集中力が落ちたり、情緒が不安定になったりしやすくなります。いわゆる「脳過労」の状態です。休みたくても休めない脳を、どうやって“黙らせる”か? ここが今回の大きなテーマなんです。
脳を完全に黙らせるには、根性で「何も考えない!」と頑張るのではなく、むしろ“今ここ”で自然に静まるアプローチを使うのがポイントです。
一つ目は「身体の感覚に集中する」方法。
人間の意識は同時に二つ以上のことを深く考えづらい仕組みを持っています。だからこそ、頭の中のおしゃべりをやめるには、身体の感覚にフォーカスして意識を切り替えるのが効果的なんです。
二つ目は「心の思考を客観視する」方法。
私たちの頭の中で流れている独り言を“自分”だと思いすぎると、延々とループして苦しくなります。でも、それらはただの思考。心理学でいう“メタ認知”の力を使えば、「また考えすぎてるな」と眺めるだけでスッと離れることができます。
三つ目は「深い呼吸で副交感神経を優位にする」方法。
呼吸に意識を向けると、脳はリラックスモードに切り替わりやすくなります。特に、吐く息を長めにすると副交感神経が高まり、自然と心身が落ち着いていきますよ。
これらは、それぞれを別々に行うよりも、組み合わせるとさらに効果がアップします。次のステップバイステップで実践してみてくださいね。
まず、時間は朝起きた直後や夜寝る前など、1日数分でOK。慣れてきたらスキマ時間にもぜひ取り入れてみてください。
最初に軽く深呼吸。鼻から吸って、口から「ふう…」と長めに吐き出してみて。
呼吸の音に意識を向けると、それだけで脳のおしゃべりが少し減っていく感覚があるかもしれません。
次に、全身の力をゆるめ、身体の感覚に集中。
ベッドやソファに腰かけ、背中を楽にして、足裏やお尻が触れている感覚、肌に感じる空気などに気づいてみましょう。「あ、ひんやりしてるな」「心地よいな」という気づきが出てきても、そのまま味わう感じです。
もし、頭の中で何か考えごとが湧いてきたら、「あ、考えが出てきたな」と客観視してみてください。
否定せずに、「また考えてるね」と心でつぶやいて、「で、今の身体はどう?」と再び意識を身体に向けます。考えを追い払おうとしなくて大丈夫。自然にスーッと流れていきますよ。
最後に、もう一度ゆっくり呼吸しながら、10秒ほど目を閉じてみましょう。
「頭が少し静かになったかも…」という感覚になれば大成功。もしわからなくてもOKです。続けるうちに少しずつ、脳のおしゃべりが減る感覚をつかんでいきます。
無理やり考えを止めようとすると、脳は逆に「考えるな!」と大騒ぎしてしまいます。
大切なのは、「身体に戻る」というイメージを持つこと。たとえば、今すぐ足先や手のひらを感じてみてください。「温かい? 冷たい?」それを味わう時間が数秒あるだけで、頭の中のおしゃべりは自然におとなしくなるんです。
あとは、呼吸を「鼻から吸って、口から吐く」と意識するだけでも、副交感神経が優位になり、血圧や心拍数が落ち着きやすくなるといわれています。研究でも、呼吸法を意識するだけでストレスレベルを顕著に下げられると報告されているんですよ。